2019年6月8日土曜日

第220回:「猫だましい」河合 隼雄

レーティング:★★★★★★☆

変わったタイトルの一冊ですが、要は河合さんが猫を題材にした本を取り上げ、心理学的な観点も交えながら解説するというコンセプトの本です。猫はいまや犬を上回る数が日本にいる模様です(といっても家猫が多いのであまり見た目にはわかりません)。私の実家でも昔は犬を歴代2頭飼っていましたが、今は(現存は2代目)すっかり猫が定住しています。いやはや。

猫はあまりなじみがなかったのですが、西の方にあった祖父母の家に黒猫が居たのを覚えています。孫が来ても初対面ですし、特に喜ぶでもなくじっと家の上の方から様子を観察していたのを思い出します。本書貫くテーマは猫の変幻自在さ、そして両義性を描きつつ、それが持つ「たましい」というものに迫ろうというものです。「たましい」というのは本当に曖昧過ぎですが、人間と動物の交歓を通じて、相互が影響を及ぼしあっている。大げさに言えばたましいが触れ合っている、そういうことが書かれていきます。

いまさら言うまでもないことですが、猫は不思議な生き物だと思います。ペットでありながら、常時媚びるわけでもなく、非常に凛としています。自由です。同時によくわからない基準で人に甘えたりすることもあります。素朴なようで何を考えているのかわからない面もあり、じっと色々なものを観察しています。そういう猫の面白さと、昔話を含めてどう人間が関わってきたかをとても面白可笑しく書いています。古代エジプトでは猫は神様で破壊的な面と母性的な面、両方を表象していたそうです。なんとなくわかるような。

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