2012年12月22日土曜日

第60回:「虚像の砦」真山 仁

レーティング:★★★★★☆☆

前回の投稿から一か月以上空いてしまいました。細切れ時間やまとまった余暇を優先的に割り当てていることがあり、なかなか本が読めません。おそらくこの傾向は一旦2月くらいまでは続くので、やや不本意ですが続いてしまいそうです。もう1冊、今月は読んだので、後1冊は積み増したいところです。

ところで、本書は読み始めてすぐに「んんん・・なんか読んだことあるかも」と思い始め、少し進んで確信に変わりました。おそらく図書館で借りて、2年前くらいに読んだのでしょう。しかし、筋を結構忘れていることもあり、せっかくということで最後まで読みました。再読する気が起きるということはそれなりにおもしろかったということであり、二度目にも関わらずかなりぐいぐい引き込まれました。さすが真山 仁さんです。

真山さんは代表作が「ハゲタカ」シリーズであり、NHKでもドラマ化されました(こちらも面白かった)。経済小説がメイン領域で、本書はさらに著者のバックグラウンドである報道やメディアを射程に入れているため、相当冴えています。ハゲタカは世相というか時代を的確に切り取ったこともあり、大きな話題となった一方、本書はそれほどメディアからのカバーもなかった(そもそも既存大手メディアにとってはかなりの問題作ですが)気がします。しかしながら、内容の濃さ、スピード感、問題意識の高さなどは一級品であり、もっと評価されてよい作品に思われます。

文庫版で読みましたが約500ページ、短くはないですが読み始めたらぐぐっと読めると思います。年末年始の帰省のお供などにいかがでしょうか。ちなみに文庫版の解説は、稀にみるがっかりなものでした(本書の評価には全く関係ありませんが)。