2011年10月2日日曜日

第24回:「企業再生プロフェッショナル」西浦 祐ニ編著

レーティング:★★★★☆☆☆

アリックスパートナーズという著名な米国の企業再生専門プロフェッショナルファーム(の日本法人)が取りまとめた、近年流行りの小説風の本です。基本的な目的は、企業再生専門のファームとはなにか(特にコンサルティング会社との類似点と相違点)、どのように企業再生に取り組むか(私的整理、法的整理(民事再生、会社更生)、コスト削減、事業譲渡、再建計画等々)を示すことのようです。

1990年代以降、金融機関を含めて日本の大企業が倒産したり、ひどいケースには廃業・清算される事例もしばしば耳にするようになりましたが、こういったファームの目的は、危機に陥った企業にハンズオンで入り込み、経営者に寄り添う形で再建の司令塔として機能することだそうです。再建計画を経営陣や株主等と共同で作ることはもちろん、プロセス上必要なコンサルタントや弁護士、投資銀行などとの窓口となって全般的な関与をしていきます。

題材にされているのは新興のPCの組立・販売会社(今はない一世を風靡したS社がモデルか)であり、志を持った起業家が急速に会社を大きくしたのち、粉飾等に手を染め、会社が急速に傾けいていく、そこに企業再生ファームが乗り込んでいくというストーリーです。小説そのものが主眼ではないので、あまりそころ論評しても仕方がないかと思いますが、話はきわめて陳腐です。ただ、分かりやすくはなっているので当初目的は達しているのではないでしょうか。

本書にも書かれているとおり、守秘義務から実際のプロジェクト内容について記述するのは極めて困難ということですが、JAL、ライブドア等の知名度のある会社の再生に関与したファームとのことで、そこで得られた実例も書いてもらえると一層面白くなるかもと思いました。特殊な本なので、主題に関心のある人にはお勧めです。

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