2018年12月25日火曜日

第202回:「銀翼のイカロス」池井戸 潤

レーティング:★★★★★★☆

久々に池井戸さんの一冊を読みました。いわゆる半沢直樹シリーズの第4冊目で、JALの再生を扱った一冊です。基本的には、JALの債権者である半沢直樹属する東京中央銀行が、政権が作ったタスク・フォースに債権放棄を迫られるが・・というお話です。この関係ではよく半沢シリーズで出てくる金融庁もいつもどおり出てきます。たぶん著者の問題意識、すなわち恣意的な航空行政、自身を顧みなかった航空業界、人気取りに走り正当性を失った時の政権などが強く念頭にあり、現実をデフォルメしながらもなぞる展開となっており、相当の取材をしたうえで批判的に状況を読み解いていきます。

中堅中小企業を取り扱った半沢直樹シリーズの前作までとは異なり、本作はダイナミックに政府、行政、ほかの債権者などのプレーヤーが出てくるので、スケール感がありとても面白い内容となっています。最近は半沢シリーズ新作が連載されているのかどうか知りませんが、ぜひまた大きなテーマを取り扱ってもらえると面白いものが仕上がるのではないかと思います。これを書いている12/25現在、日経平均が1000円以上下げていますが、2019年はどういうマーケットになるのでしょうか。システミックなリスクや戦争といった大きな顕在化した地政学リスクがなければ大きく底割れすることはないような気がしますが、来年もボラタイルなマーケットになりそうな気がします。

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