2018年11月4日日曜日

第199回:「垂直の記憶」山野井 泰史

レーティング:★★★★★★☆

前回レビューから1ヵ月以上不本意にも空いてしまいました。出張もあり、なんやかやと休日もイベントがあり、ゆっくり本を読むことができなかったのですが、11月に入り少し時間が出来ました。

さて、本書は登山、とりわけアルパイン・スタイル、ビッグウォール・クライミング・スタイルにおける名著と言われている一冊です。山野井さんは一般にはそこまで有名ではないかもしれませんが、その道のスーパースターであり、日本における第一人者の一人といって差し支えないのではないでしょうか。また、奥様の妙子さんも女性アルピニストとして世界的に知られています。本書は山野井さんが時に奥様ともチームを組み、ヒマラヤに挑んだ記録を本にまとめたものです。サブタイトルが「岩と雪の7章」ってかっこよすぎます。

私はアルパインもビッグウォールもやったことがないんですが、本書は真のクライマーの物語であり、読んでいるだけでこちらまでドキドキする臨場感があります。最後の「ギャチュン・カン北壁」をピークとして、どの登山も壮絶も壮絶であり、またこういうことをやりきってしまう身体能力や意志の強さというのは想像を絶しています。最近、夜テレビでやっている「クレージー・ジャーニー」という番組を、ちょうど会社から帰ったあたりでやっていることもあり見るのですが、この番組も想像を絶するような旅や挑戦をしている人を紹介しており、ものすごく面白いです。山野井さんもぜひ出てほしいところです。

しかし、8000メートルを超える高峰に一人で突っ込んでいくとかそういう話ばかりなのですが、本当にすごいです。ご本人も認めているようにやや特殊な世界なので、それをもって社会的に偉いとか偉くないというのは全くないのですが、その突き抜けた情熱と実行力と見方にはあこがれを感じます。

0 件のコメント:

コメントを投稿