2016年11月3日木曜日

第157回:「アドラー一歩踏み出す勇気」中野 明

レーティング:★★★☆☆☆☆

少し前回のレビューから時間が空いてしまいましたが、こまごました時間の中で読書は相変わらず継続中です。今日は図書館で予約を入れてから相当待った一冊です。この3年くらいでしょうか、書籍界ではちょっとしたアドラーブームが起きています。私もよく知らなかったのですが、フロイトやユングに並ぶ大物心理学者(これはちょっと言い過ぎかと思いますが)という人もいる様です。基本的には劣等感というものに注目し、その代償としての優越コンプレックスというものをテーマとして持っていたようです。また、心理学をベースにどうよく生きるかという観点で、個人の利益のみに注目する私的論理の超越や共同体とのつながりやコモンセンスというものを重視しているようで、概ね近代西洋的な考え方のベースと一致しており、現代の日本人にはすんなりと頭に入る内容ではないかと思います。また、過去が未来を決定するということではなく、自分の目標の持ち方が未来を決定するということで、決定論を強く戒めており、この種の自己啓発系の本ととても親和性の高い心理学のようです。

さて本書はかなり売れているようですが、大学講師の方がライトノベル風に広告マンを題材にストーリーを作られたものです。内容としてはすっと読めて、たぶん2時間もあれば早い人は読み終わるのではないでしょうか。特に複雑な理論めいたものもなく、同時に内容の薄さをかなり感じますが、新書ですのでまあこういうものだと理解するほかありません。ただし、内容としては結構面白く、いろいろ考えさせられる部分があります。自分の備忘を兼ねて見出しを拾ってみます。
第1「自己成長の鍵は共同体との良好な関係にある」割り箸の話
第2「人が持つ劣等感、それは飛躍の原動力である」原点となる劣等感の話
第3「キミは私的論理の虜になっていないだろうか」自分の利益の話
第4「人生の正しい目標とは共同体への貢献である」コモンセンスの話
第5「より多く得る人からより多く与える人になれ」子供を預かる話
第6「誠意ある態度とは相手を思いやることである」会長直談判の話
第7「パートナーには献身で接することがすべてだ」退院の話

他にもアドラー本を今後読む予定なのですが、最初の一冊としてはさくっと読めてよかったかもしれません。定価で買うのはお勧めしませんが、ご関心ある方はどうぞ。

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