2011年5月12日木曜日

第13回:「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず(上・下)」塩野 七生

レーティング:★★★★★☆☆

多くの人が世界史を学ぶのは中学校、高校で、大学に進んでごく稀に(すみません)歴史を専攻する人もいる。私は典型的な部類で、中学校、高校で世界史を学んだのですが、その中でもローマ時代はいかんせん教科書の最初の方にちょろっと出てくるだけであり、また身も蓋もない言い方をすれば遠い国の遠い昔の話なので、あまり興味を持ちませんでした。他方、塩野氏については月刊のオピニオン誌に「いまこそローマ人に学べ!」的な寄稿をたまにされているのは知っており(読んだことはなし)、いずれ代表作であるローマについての本を読んでみたいと思っていました。

また2年ほど前に短期間ですが数回イタリアに足を踏み入れる機会があり、そういえば自分はイタリアはおろかローマ時代のことも何も知らないなぁと痛感すると共に、何人か知り合えて、深い話もできたイタリア人はほぼ例外なくとても好きになることができました。そんなこんなで、新潮文庫から出ているこのシリーズを入手(現在、この2冊(通し番号1・2)と3及び5)したので読んでみようと思った次第です。

歴史の教科書は、歴史を学ぶ気をなくさせるほど無味乾燥ですが(そりゃあ世界の歴史を1冊で俯瞰しようということに限界があるわけですが)、細かく見ていくと一杯面白いエピソードや先進的なストーリーがあることをいやというほど痛感しました。著者の描き方はかなり俯瞰的ではありますが、それでもおよそ500年程度(ローマの勃興から半島統一まで)を丹念に描いています。政体、統治機構、軍隊、市民生活などのうち、何が変わって何を変えなかったかがよくわかります。

また感動してしまうのが、ローマが首都陥落(ケルト人による)などを経験しながら、幾度も起ちあがってその版図を広げ、驚異的ともいえる包容政策を取っていくあたりです。まだまだ、1・2ですが、今後が楽しみになります。

最後に装丁も見所です。各時代に鋳造された美しい小さなコインを載せた、シンプルながら非常に味のあるものに仕上がっておりますので、よろしれければ本屋などでチェックしてみてください。また、2の最後にある「ひとまずの結び」も優れた文章だと思います。欲を言えば、2の最後についている年表を1の最初に持ってきてほしかった(早く気付けよ、という話ではありますが)。次は3~5が一つのまとまり「ハンニバル戦記」となっているので、時間はかかると思いますが読み終わったらまたポストしたいと思います。

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