2016年4月10日日曜日

第144回:「日本百名山と深田久弥」高辻 謙輔

レーティング:★★★★★☆☆

最近知ったのですが昭和中期に相当の登山ブームがあり、その時の火付け役はいくつかあるそうなのですが、一つが本書のタイトルになっている深田久弥氏(作家、登山家)が選定し、雑誌に連載した日本百名山だそうです。その本自体をまだ読んでないので、やや順番が前後しているのですが、評伝を見つけたのでまず背景を知る意味でも読んでみたものです。2004年、白水社刊行の単行本です。

深田さんは東大出身の当時として相当のインテリだったようですが、小説を書き、また登山に若くからたしなんでいたことから山岳関係の散文や小説も多く手掛けた方ということです。加賀の大聖寺あたりの出身ということですが、世田谷区松原や鎌倉にも住んでいたようです。また、大変な書物の収集家としても知られ、内外の古書を買い集め、自らの庭に九山山房という小屋を建てて、山岳関係の本の保存、閲覧、助言などに使っていたようです。

面白いのは日本の山を若いころから登り続け、自ら登った山の中から百名山を選定したことです。基準はゆるやかですが、原則1500メートル以上であること、山としての品格があることなどを挙げています。私は、小学生の時に上った筑波山(今年もう一度いこうと計画中)しか登ったことがないのですが、ぜひとも百名山を登ってみたいと考えています(1年に5峰で20年かかりますが・・)。

深田さんの時代から、現在もある山岳雑誌、例えば『山と渓谷』、『岳人』などがあり、深田さんも活発に寄港されていたようです。さすがに『PEAKS』はなかったようですが。この時代の登山はとてもおおらかで、結構山頂で酒を飲んだ、みたいな記述が出てきます。下山に危険が多いことを考えると、現在ではご法度な気がします。深田さん自身もかなり大酒飲みだったようで、それが直接の原因かわかりませんが、芽ヶ岳(山梨県、1704メートル)を登山中に亡くなっています。享年1704メートルでした。急死されたことは残念ですが、山を愛した深田さんとしてはある意味本望だったのかもしれません。ぜひ原書である『日本百名山』を近々読んでみたいと思います。

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