2015年10月12日月曜日

第126回:「こころの読書教室」河合 隼雄

レーティング:★★★★★★☆

河合さんの著作は今までかなり読んできましたが、そのユーモアや優しい語り口を感じるにはこのような口述(セミナー)形式の本がとても良いのではないかと思います。村上春樹さんとの対談も同じような雰囲気のある本で、名著だと思います。

さて、河合さんは大臣まで務めたマルチな方でしたが、本業はユング派の臨床心理士でした。夢というものを入り口に無意識というものを考え、その後、各国の神話や昔話、はては児童文学などまで縦横無尽に読み、その意味について広く論じてきた方で、本人は謙遜されていますがものすごく文学的な能力や関心の高かった方ではないかと思います。

本書はタイトルから分かる通り、先生が生前に愛された沢山の本を紹介しながら、心理学的な見方についても同時に触れていくというものです。4つのチャプターから分かれていますが、最初は「私と”それ”」というもので、いわゆる意識と無意識、ペルソナとエス、そういったものについて触れています。2つめは「心の深み」というもので内界、外界、病といったものについて書いています。3つめは「内なる異性」ということでジェンダーやセクシャリティについて、最後は「心」というもので創造的病いや十牛図といった先生の著作でよく出てくるモチーフで締められます。

自分のための備忘録になってしまいますが、下に本書で紹介されている本のうち、近々読んでみたい、再読してみたいとおもった本を書いておきたいと思います。皆さまも良ければ本屋で除いて頂ければと思います。

山田 太一『遠くの声を探して』
フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』
村上 春樹『アフターダーク』(再読)
井筒 俊彦『イスラーム哲学の原像』
ルーマー・ゴッデン『ねずみ女房』
エマ・ユング『内なる異性-アニムスとアニマ』
C・G・ユング『ユング自伝-思い出・夢・思想』
白洲正子『明恵上人』

どれもタイトルを書くだけで色々と想像が膨らみ、とても面白そうです。時間はかかると思いますが一冊ずつ見つけて読んでいきたいと思います。

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