レーティング:★★★★★★☆
年の瀬も年の瀬になってしまいました。12月は前半に色々あり、なかなか自宅のPCに触れることもできずこんなタイミングになってしまいましたが、本書を含めて3冊読み終わっていますので、なんとか年内にすべてレビューをアップしたいと思います。
さて、書店で一時期結構平積みされていた本書、ユニクロの柳井さんが「これが私の最高の教科書だ」と写真付きで帯に登場しています。2004年発刊と書いているのでなんともう10年も経っているんですね。光陰矢のごとしです。内容は、米国のITTというコングロマリットを経営した著者が自身のキャリアを振り返りつつ、経営の要諦について語るというものです。まあここまで書くとありきたりな本ということで終わるわけですが、本書は本音と建前が上手く併記されていてとても面白いところに特徴があります。
まず非常に実績を出した経営者なので厳しい記述が随所にあるんですが、他方、そうはいっても人間だから厳しくやるだけじゃだめだよね、とか、成功する経営者は沢山いるけど、アルコールとか異性問題で身を持ち崩す例も非常に多い、とか、給料はやっぱり一つの指標なので高いものを目指すべきだけど、他方若い時は経験の方がずっと大事、などなどと身近なトピックを冷静な観察眼を通して分析していきます。
あと、とても楽しいとおもったもう一つの理由は頭でっかちにならず、率直に過去の失敗についても記述しており、さらに全編にビジネスで前向きに努力して成功していくことについての楽観的でポジティブな見方が満ちているところです。ここは自分の反省にもつながるのですが、やたらむずかしく考えたり、必要以上に高いものを求めたりしていないか、よく振り返る必要があるように感じています。時代はやや古いですが、内容は現代でもまったく遜色なく読めるもので、少し分厚いですがビジネス・パーソンに非常にお勧めです。30代以上の人の方が頭に入りやすい内容かもしれません。
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