2013年10月14日月曜日

第78回:「温かなこころ」中村 元

レーティング:★★★☆☆☆☆

前回に続いて中村先生の一冊です。1999年に初版が発行されており、平成2年から9年までに行われた4回の講演を編集した一冊です。講演のテーマが似通っているためか重複する話もありますが、全体的に(ベースが講演でもあり)さらりと読めます。

以下は感想というよりは個人的な備忘録です。親鸞の言葉、「無明長夜(むみょうじょうや)の灯炬(とうこ)なり。智眼(ちげん)暗しと哀しむな」、なかなか味わい深いですね。唐招提寺の語源、唐は鑑真和上の出身国、招提はパーリ語のチャートゥッディサ(四方にわたる)の音を写したもの。奈良の大仏は華厳教学の本家本元(総本山)。華厳経は元々南インドから出たものと考えられているが、インドからインドネシアまで広がっており、ボロブドゥールの彫刻にも出てくる。その華厳経は「縁起」の思想を中心に据えており、東洋的考え方の大きな要素の一つ。この関連で良忍上人の一句「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行」。中村先生は弘法大師の「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」に触発され、東方学院を設立した。

この一冊で続いた仏教モノシリーズにいったん区切りをつけ、現在は全く毛色の違うものを読んでいます。読書の秋なので(といってもあまり進みませんが)、ぼちぼち読み進めていきたいと思います。

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