2019年5月6日月曜日

第215回:「教養としてのワイン」渡辺 順子

レーティング:★★★★★★☆

今年2月の欧州EPA発効により、欧州産ワインが値下がりして改めて注目を浴びていますが、そんなワインに関する本です。著者の渡辺さんは米国の大手オークションであるクリスティーズのワイン部門でアジア人初のワインスペシャリストとして活躍され、現在は日本に戻られてワイン関連のビジネスを展開されているということです。なかなか煽りの混じったタイトルですが、個人的にはワインというものをまともに勉強したことがなかったので、とても面白い一冊です。

ワインといえば学生時代によく通ったチェーンの安い居酒屋で頼み、その水っぽさに閉口し、よいイメージがありませんでした。仕事を始めるとちゃんとしたお店でちゃんとしたワインを飲む機会もできてきて、またワインに精通した先輩も何人かおり、色々とご一緒する中で何となくこれは美味しいなとか、このブドウの種類だと好きだなというものが見えてきます。出張の機内で飲む時はワインの出自が書いてあったりして、これまた勉強になりました。日本ではワインはまだまだなんとなく気取った感じもありますが、スーパーではチリワインなどがここ10年ほど非常に安く(また安定した味で)手に入るようになり、アルパカやサンライズといったものが代表格としてよく見られます。ヨーロッパでもワインはピンキリですが、会食などでいただくことがあり、また大陸の一部の国では昼からワインを開ける習慣もあり、面白いなーと思いました。

そんななか全くバックグラウンドの勉強もなく、非常にぼんやりとした認識でいたところ、主要な地域のワイン造りの歴史、品種や産地ごとの特徴、新興ワインの来歴、さらには最新のトレンド(中国の爆買いと定着、ビジネス化)がほどよく分かりやすくまとめられているこの一冊はかなりお勧めです。一度網羅的にワインについて読んでおきたい方はぜひ。一度には頭に入らないので何度か読み返してみたいと思います。

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