2018年1月3日水曜日

第180回:「最高の休息」久賀谷 亮

レーティング:★★★★★☆☆

前回レビューしたマインドフルネス関係の類書ですが、米国で医師をしている精神科医の本です。入門編的になじみやすいエピソードを展開しつつ、専門知識を交えた解説を加えていくスタイルで、最近(といってももうしばらくそうですが)はやりの形をとっています。古本屋で買ったのですが、昨年さかんに新聞などで宣伝されていた一冊であり、中古でも1000円近くと値を保っているところをみると結構人気がある一冊のようです。

世の中のマインドフルネス本は、そのやり方や効能にフォーカスしているのに対して、本書は脳科学的なアプローチで疲労の正体が身体的というより脳からくるものであることを丹念に説き起こしています。そして慢性疲労症候群など幅広い疾病に脳の疲労というものが関連していること、そしてマインドフルネスのプラクティスによりどのような脳への変化が期待されるかが書かれています。実証的なデータを引用しながら、とても中立的に書かれていますので、これさえやれば健康になるとか、これさえやればみんなハッピーという軽率さがないところがよいところでしょう。

面白いのは競争が人を疲弊させるという下りです。アメリカにいる著者は競争を叩き込まれるアメリカ人の生き方に共感しつつも、深い憂慮を抱いていることが分かります。しかし競争的な社会や環境であっても、疲労の感じ方にはとても大きな個人差があるということであり、要はどういう考え方をするか、感じ方をするかという受け止め方が重要であることが説かれています。今年の目標の一つとして、いろいろな気付きをもって生きていくことを大事にしたいと思います。

さて、昨年は18冊と本ブログ開始(2011年)以来、最低の読破数となってしまいました。単純に最大の理由は仕事や育児に追われて時間がなかったことにつきますが、平日も帰りにスマホばかりみてしまって読書量が減ってしまった面もあります。本としては趣味寄りの軽い本が多かったために、今年はもう少し(今読んでいるものも含めて)古典的なものや超大作にも取り組んでみたいと思います。

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