2017年8月26日土曜日

第174回:「リーダーを目指す人の心得」コリン・パウエル(トニー・コルツ著)

レーティング:★★★★★☆☆

面白いよと推薦を頂いて読んだ本。米国の偉人といって良い方の本ですが、意外なほど読みやすく、また頭の下がる一冊でした。黒人として初めて米軍の統合参謀本部議長に付き、湾岸戦争や数々の戦いを指揮し、これも黒人として初めての国務長官に上り詰め、大統領選にでれば当選確実とまで言われた方ですが、偉ぶるところがなく、率直に自分の弱みや失敗もさらけ出しながら、自分なりにどう工夫して生きてきたかを書いた本です。邦題は上に書いた通りですが、原書では「It worked for me. IN LIFE and LEADERSHIP」となっており、私にはこのやり方がうまくいった、というとても謙虚な打ち出しになっており、邦題よりずっとパウエルさんの思いを表しているものと思います。

さて、内容ですがパウエルさんが心にとめてきた13か条(備忘のため末尾に記載しますが、ネタバレにもなるのでご注意)から始まり、自らの出自、辛酸をなめた第2次湾岸戦争での判断の誤り、軍隊での生活、引退後の(主として)講演生活などがつづられています。本書の良いところは、米国社会で差別を含めて厳しい立場に置かれていたパウエルさんが偏見はそれはそれで認識しつつ、できることを正攻法からやって偉くなったということではないでしょうか。いろいろなハードワークもあったでしょうし、秘訣もあったのだと思いますが、奇をてらわずに人を信じて、協力してやってきたように感じます。驕らず、見下さず、蔑ろにしないその姿勢はとても学ぶべきものが多いように感じます。

さて、上で紹介した13か条は次の通りです。なかなか面白いです。

1.なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。
2.まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。
3.自分の人格と意見を混同してはならない。さもないと、意見が却下されたとき自分も地に落ちてしまう。
4.やればできる。
5.選択には細心の注意を払え。思わぬ結果になることもあるので注意すべし。
6.優れた決断を問題で曇らせてはならない。
7.他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。
8.小さなことをチェックすべし。
9.功績は分けあう。
10.冷静であれ。親切であれ。
11.ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。
12.恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。
13.楽観的でありつづければ力が倍増する。

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