2015年5月27日水曜日

第117回:「リスクを取らないリスク」堀古 英司

レーティング:★★★★★☆☆

アメリカで長年活躍されているファンドマネージャーの一冊です。著者は、東京銀行出身でNY勤務等を経て、現地で起業します。その生きざま自体がとてもかっこよく、今では海外で起業という選択肢がありますが、それよりはるか前に先駆的に成し遂げ、なお今もマーケットでご活躍です。その勇気や継続する力、更には本書のような熱い本を書いて、はたまた収益を全て寄付するなど、あまりに男前でまぶしい限りです。

証券投資一般の考え方をベースにしながら、しかし過度に専門的にならないように説きながら、これからの日本に起きると思われることを淡々とつづっていきます。個別の論点は特に目新しいものでないといったら失礼ですが、しかしながら全体としてストーリーができており、すとんと腹に落ちる形でなぜ株式市場への長期投資が有効かという観点で書かれています。

著書の書かれているシナリオ、例えば年金財政のどんづまり、円安の進行、人口減少などなどはいずれもマクロ的に大いにうなづけるところで、だからこそ投資も長期のスタンスで早めに始めるのが大事だと説きます。たしかにボラティリティは相応にありますが、米国株はとてもよい投資対象になるでしょうし、確定拠出年金も増える昨今、とても勉強になると思います。内容としては、投資に関心のある10~30代くらいに最適かと思います。ぜひ一度生でお話を伺ってみたい方です(たまにメディアにも出られていますが)。

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