レーティング:★★★☆☆☆☆
第111回にレビューした全生庵住職の平井和尚の一冊です。前回レビューしたものと同じ幻冬舎から出た一冊で、文字通り前作がかなりヒットしたので出された一冊であることが伺えます。内容は、禅の考え方、とりわけ囚われない、捨てる、拘らない、流す、忘れる、そういったコンセプトを禅語といっしょに照会していくもので、優しい人生訓のような形式を取っています。
面白かったのは禅宗では桜より梅を高く評価しているというところ。なんでも梅は寒さの中で咲き、ほのかな香りを付け、そして確かな実を結ぶからだそうです。なんとも禅宗らしい感じ方だと思います。怒りや妬みといった日常的な感情について、禅的な考え方からある種の考え方を解説しており、そちらも含蓄があってとても面白いです。
一つだけ残念なのは、とても滋養に富んだ一冊だと思うのですが、細切れで短く、少し物足りない感じがするところです。幻冬舎は面白い本を次々と世に送り出す凄味があるのですが、他方、売れることもかなり重視していて、この一冊は企画先行になってしまった感が否めません。まあもちろん売れなくてよいと思って本を出す人はいないのだと思いますが。
残る平井氏の作品も読み進めてみたいと思います。
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