ラベル 自己啓発 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 自己啓発 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019年10月6日日曜日

第226回:「筋トレが最強のソリューションである」Testosterone

レーティング:★★★★★☆☆

前回のレビューからずいぶん時間が空いてしまいました。夏休み後から仕事がやたら忙しく、更にはお盆ぐらいから久々に将棋にハマってしまい、会社帰りなどの相当の時間を将棋に使ってしまい、純粋な読書量がかなり減少しています。純粋なという意味は将棋の本は数冊読んでおり、将棋関連以外の本を指しています。

それはともかくとして、図書館に予約してから彼此1年くらい待ってようやく届いた本がこちらです。本屋でも平積みですし、新聞広告などでも目にされる方が多い一冊かと思います。昨今、高齢化に伴う健康意識の高まり、さらにはライザップブーム(去った?)などで健康のために筋トレが役に立つという認識が急速に広がってきた影響で、Testosteroneさんを始めとしてトレーニング本隆盛の時代を迎えていきます。

過度なものでなければ運動が健康にいいのは疑う余地がないところですし、健康であれば結果としてダウンタイムや医療費の削減に繋がるのも事実でしょうから、そういう意味でこのブームは良いことだと思います。他方、糖分満載のタピオカが流行したり、相変わらずデカ盛り番組などがたくさん流されていることを考えると、おそらく健康やスポーツに目を向ける人とそうでない人というのもまた顕著に違うのかもしれません。結局は自分で責任を負うべき選択であり、それ自体はとやかくいえませんが。

この本はまさにタイトルの通りで筋トレしたらうまくいく、そして気分も上がるという本です。特に欧米ではかなり筋トレというのは標準的な日常活動に組み込まれている感じがします。マッチョ志向とは言いませんが、男女を問わずがっちりとした肉体で健康になる(見せる)というのはかなり重要な要素らしく、健康のためにそうしているかは別として、価値観に組み込まれていると思います。そういう波が大きな意味での欧米化の一部として日本にも遅ればせながら到来してきているのかもしれません。ちょうど今ラグビーワールドカップが盛り上がっていますが、彼らの筋肉隆々とした体とプレーを見ていると、日本人の憧れの体も少しずつ変化していくのかもしれません。本書の内容にほとんど触れませんでしたが、深い言葉あり、面白い逸話あり、軽妙なギャグありで面白いです。特に10代、20代で読むとその後の大きな財産になりそうな本です。

2019年6月1日土曜日

第218回:「名場面で見る聖書」中見 利男

レーティング:★★★★☆☆☆

自分自身はミッション系の教育を受けたことがなく、また自発的にキリスト教について勉強することもなく生きてきたのですが、最近ひょんなことで聖書ってなにも知らないなと思い立ち借りてきました。聖書は旧約、新約とあるわけですが、これらすべてを通読するのは余りに骨なので、かなり安易ですがKKベストセラーズのこの一冊を入門書として借りてきました。

通読してみて、聖書の名場面はよくわかったのですが、なかなか書いてあることが理解できても、共感したり深く納得するのはかなり難しいな、というのが率直な感想です。特に旧約聖書の世界観というか歴史的な記述はなかなかすっと頭に入りません。新約聖書はもう少し一般倫理観的な観点で理解できる気もするのですが、それにしても罪人がまず最初に許される神の寛容さなど、親鸞的な価値の逆転も見られて、これまたそうだよねとすぐに分かるものでもありませんでした。

もう少し違う角度の聖書の入門書を読んでみたいと思います。また違った面白さが分かるかもしれません。

2019年5月11日土曜日

第216回:「マネジャーの教科書」ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(編)

レーティング:★★★★★★★

本書は部下を持つ立場になった新任マネジャーすべてに向けてまとめられたもので、HBRに掲載された論考11編をまとめたものです。本書はいわゆるビジネス・スクールの教授やコンサルタントが書いているものが大半であり、現実に立脚した、そうだよね、そういうことだよねという実感を伴う話が多く、とてもお勧めできます。また、自分の凝り固まった考え方、例えばAuthenticityが振る舞いにおいてとても重要である、といったコンセプトについてもそれを認めつつ、いかに視野の狭い考え方となりうるかを解説していたり(第7章)、非常に発見が多いのが特徴です。

面白いなと思うのは執筆陣はすべて外国人ですが、日本の会社の文脈でもまったく妥当性を失わず、普遍的であること。さらには結構前に書かれた論文もありますが、時代は変われどその有用性はほとんど変わらないなど、いつの時代も同じようなことを考え、悩み、組織人は生きていくのだなと感じられます。第2章の 「メンバーを変えずにチームで改革を進める法」などは非常に現実的な問いかけですし、第8章の「上司をマネジメントする」といった発想も重要でしょう(もっともこれは若い時から重要だと思いますが)。

本書は図書館で借りましたが、あまりに内容がよいので自分で買おうと思っています。久々の満点です。

2019年3月10日日曜日

第209回:「疲れない脳をつくる生活習慣」石川 善樹

レーティング:★★☆☆☆☆☆

いわゆるマインドフルネスを冒頭で紹介し、あとは姿勢をよくする、よい睡眠をとる、血糖値の変動を抑えた食事をすることを推奨する本です。よくある話の寄せ集めという感じが否めず、マインドフルネスの話はグーグルのSIYの本で要素がほぼすべてカバーされていますし、ほかの話も中身として特に掘り下げたものはなかなか感じられませんでした。

ブログやネットの記事に情報が転がっている時代においては、情報の価値がかなり変わってきていて、通り一遍の常識をまとめたものについてどんどん売れなくなる気がします。本が売れなくなる時代ですが、力のある本は売れている一方、特色のない雑誌などはどんどん淘汰されており、なかなか本を出す人には難しい時代になったのではないかと感じさせられた一冊です。

2018年9月29日土曜日

第198回:「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」マーカス・バッキンガム

レーティング:★★★★★☆☆

ビジネス本は結構読んできたんですが、書店にいくとリーダーシップやマネジャーの役割といったジャンルの本が山ほどあります。このジャンルの本は、いわゆるソフトスキルを中心に描いているだけにつかみどころがなく、やや説教じみた内容が多く、更には書いている人によってスタンスが全く異なるのがあるあるです。要は、定説がなく客観性が得られ辛く(だからこそ諸説振りまいていろんな人が書けるジャンルなんだと思いますが)、その意味で科学というより、かなりアートの要素が強くなりがちです。

本書も正直にいってそういった特徴は一定程度ありますが、かなりの人にインタビューして実例を交えているので、相応に説得力がありますし、奇抜ではないがあまりに常識的な内容ではないという意味でとてもバランスがよく、腹落ちする内容の一冊となっていました。ちなみに、私は「タイトルが異様に長い本は漏れなく内容が残念」という経験からの確信を持っているのですが、今回はあまり当てはまらないかったようで、やはり先入観を強く持ってはいけないなと反省しています。英題は「The One Thing You Need to Know: ...about great managing, great leading, and sustained individula success」というものでした。長いですね。

本書が言いたいことはとても明快です。リーダーは、あるべき姿を「明確に」示すことが大事。そうでないと人が付いてこない、新しい未来を見せられない。マネジャーは、部下の個性や強みの違いを把握し、強みを伸ばすことに注力する必要がある。型にはめて弱みを消す努力は多くの場合報われないので、徹底的に個性や強みを伸ばす手助けをすべき。そして、個人の成功は如何に不得意なことや情熱を感じないことをしないか、そして自分の個性や強みを発揮できることを続けていくかに掛かっている。バランスをとる必要はない。ということに集約されます。

これがどこまで正しいのかというのは人によって見方が分かれると思いますが、自分を振り返ると年下の同僚などに対してはここが弱いからいろいろと手助けをしよう、強みは勝手に伸びるし、伸ばしていけるだろう、というパターンで考えていることが多かったので、この本のアプローチを取り入れてみようと思いました。実感的に弱みを消すのはなかなかうまくいかないケースが多かったです。あと、自分の弱いことややりたくないことを排除することは容易ではありませんが、なにか工夫できないかと、これも考えていきたいと思います。示唆に富む一冊だと思います。

2018年7月28日土曜日

第193回:「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井 紀子

レーティング:★★★★★★☆

今年のベストセラーの中の一冊であり、AIという旬のネタと子供の読解力という親の関心事をうまく組み合わせたタイトルの一冊です。AIについてはよくニュースや新聞などで目にし、2000年代前半のドットコムバブルを彷彿とさせるAIバブルが起きていることから、結構関心がありました。また、子供の読解力については親としてもそうですし、ゆとり教育やスマホといった子供たちの学力に影響を及ぼしそうな要素がいろいろとある中で、どうなっているのかという関心もありました。

本書は前半でとても分かりやすくAIを使って企業や研究者がなにをしようとしているのかを説明したうえで、同時にAIの限界がどこにあるのかを自らの研究を通じて論じていきます。帯にあるように、AIができることとできないことは相当分かってきているようで、その意味で過大な妄想をAIに持つべきではないが、産業や医学等において大きな影響力を持ってくるであろうことも述べています。後半は衝撃的なリサーチですが、日本人の中学生、高校生の日本語の読解力がかなり低いレベルにあることを説き起こしていきます。驚愕すべきことは、学力上位といわれる学校でもそれなりの読解力しかないこと、更には社会人でも同様のこと。これは日本社会全体の知的レベルや意味を理解する力が低い状態にあるということで、読んでいるもの、話していることが正しく伝わっていない可能性が示唆されています。そうすれば、AIは部分的にはこれを凌駕する力をつけているので、部分最適でAIが人間の仕事の一定の部分を奪っていくリスクが現実化していることが説明されます。

詳細は本書をぜひ読んでいただきたいところですが、本書の素晴らしいところは著者の志の高さと知的な誠実さです。ありがちなAI関連本の煽りは一切なく、エビデンスを使って冷静に分析をしていきます。なぜ日本人の読解力が低いのかは謎であり、そこがとてももどかしいところですが、この解明は次作に期待したいと思います。1点読んでいてわからなかったのは、読解力に関する長期的なデータがないため、今の低い読解力が経年でどう変化しているのかという点です。今の読解力が高くないのは分かりましたが、昔に比べて低くなっているのか高くなっているのかがわからず、そこは評価しづらいところかと思います。

2018年3月31日土曜日

第186回:「ダークサイド・スキル」木村 尚敬

レーティング:★★★★★☆☆

2017年7月に刊行されたビジネス書です。ロングセラーになっているようで、本屋でも平積みされていますし、日経新聞にも時折広告がでているので目にされた方も多いかと思います。ビジネス書は表面的だったり、薄っぺらいものが少なくないですが、本書は切り口が面白く、二回読んでしまいました。ちなみにページ数はそれなりにありますが、平易な文章でありどんどん読めます。

著者は経営共創基盤のパートナーということですが、20代のころに会社をやったり、大病を患ったり、海外MBAやAMPの経験もあるなど幅広い経験を生かした一冊となっています。著書のタイトルはアイキャッチとしての機能を十分果たしていると思いますが、ビジネス書にありがちなやや煽りの入ったタイトル設定なのがやや残念です。中身は、ごく真っ当です。

例えばプレゼン能力が高いとか財務諸表が読めるとか、英語ができる、そういった経営上必要なスキルをブライトサイド・スキルと定義し、他方で上下の人に影響力を与え、信頼関係を構築し、情報を収集していく力をダークサイド・スキルと定義し、その強化・活用を訴えています。そのためにはCND(調整、根回し、段取り)を付けるとか、一つ上の上司とのホットラインを作るとか、情報収集のためのシナプスを張り巡らすなど色々と書いてあり、それぞれは一定以上の年数を経たビジネス・パーソンであれば実感として良くわかるものではないかと思います。

本書はいろいろな会社のミドル向けに描かれており、20代が読んでも正直ピンとこないかもしれません。20代はむしろ率直にブライトサイド・スキルを身に着けることに集中した方がよいかもしれません。また、本書を50代で読んでも逆にすべて知っている、またはもう遅いという話かもしれず、年代的には35~45くらいの方にお勧めです。簡単そうに見えますが奥深い一冊で、売れている理由が分かる気がします。

2018年1月3日水曜日

第180回:「最高の休息」久賀谷 亮

レーティング:★★★★★☆☆

前回レビューしたマインドフルネス関係の類書ですが、米国で医師をしている精神科医の本です。入門編的になじみやすいエピソードを展開しつつ、専門知識を交えた解説を加えていくスタイルで、最近(といってももうしばらくそうですが)はやりの形をとっています。古本屋で買ったのですが、昨年さかんに新聞などで宣伝されていた一冊であり、中古でも1000円近くと値を保っているところをみると結構人気がある一冊のようです。

世の中のマインドフルネス本は、そのやり方や効能にフォーカスしているのに対して、本書は脳科学的なアプローチで疲労の正体が身体的というより脳からくるものであることを丹念に説き起こしています。そして慢性疲労症候群など幅広い疾病に脳の疲労というものが関連していること、そしてマインドフルネスのプラクティスによりどのような脳への変化が期待されるかが書かれています。実証的なデータを引用しながら、とても中立的に書かれていますので、これさえやれば健康になるとか、これさえやればみんなハッピーという軽率さがないところがよいところでしょう。

面白いのは競争が人を疲弊させるという下りです。アメリカにいる著者は競争を叩き込まれるアメリカ人の生き方に共感しつつも、深い憂慮を抱いていることが分かります。しかし競争的な社会や環境であっても、疲労の感じ方にはとても大きな個人差があるということであり、要はどういう考え方をするか、感じ方をするかという受け止め方が重要であることが説かれています。今年の目標の一つとして、いろいろな気付きをもって生きていくことを大事にしたいと思います。

さて、昨年は18冊と本ブログ開始(2011年)以来、最低の読破数となってしまいました。単純に最大の理由は仕事や育児に追われて時間がなかったことにつきますが、平日も帰りにスマホばかりみてしまって読書量が減ってしまった面もあります。本としては趣味寄りの軽い本が多かったために、今年はもう少し(今読んでいるものも含めて)古典的なものや超大作にも取り組んでみたいと思います。

2017年12月17日日曜日

第179回:「グーグルのマインドフルネス革命」サンガ編集部

レーティング:★★★★★☆☆

前回のレビューからなんと2か月ほど空いてしまいました。おそらくこのブログを始めてから一番間隔があいてしまったような感じがします。一つには仕事がやたら忙しく、マルチタスクを強いられ、拘束時間が極めて長い環境になってしまっていることが原因で、当然心身ともにストレスを感じる状況にありました。そんな中で久々に手を伸ばした一冊がマインドフルネスに関するものであったのは、まったく偶然ではなく、自分のニーズがあったのだと思います。

マインドフルネスについては、いまさら解説不要なほど人口に膾炙しているトピックであり、本書も昨年あたりは本屋でとてもよく見かけました。表紙に斜めにGoogleと書いてある一冊です。内容は、同社でマインドフルネスに関するプログラムの中心的な人物として活動しているビル・ドウェイン氏へのインタビューに解説を加え、さらに簡単なプラクティスのためのCDが付いています(まだ聴いてません)。内容はとても平易であり、どうしてGoogleがマインドフルネスを大胆に導入したのか、また、同氏がなぜ瞑想というものをし始めたのか(仏教徒だそうです)などが書いています。本書は強く実践を意識していて、どうやって入り口に立って、実際にやるよう促すかに力点が置いてあり、その意味で深い内容ではありませんが、手っ取り早く読めて忙しい方にはお勧めです。

以前から禅寺での体験座禅でもやってみたいと願っていますが、まだ適っていません。近くのお寺でもやっているようなので、ぜひ仕事や育児に追われる日々の中で一度くらい行ってみたいところです。

2017年1月28日土曜日

第163回:「幸せになる勇気」岸見 一郎、古賀 史健

レーティング:★★★★★☆☆

本書の1作目に当たる「嫌われる勇気」はベストセラーになったようで、まだ書店で時折見かけます。この作品はその続編という位置づけのようで2016年の2月に刊行されました。図書館でずいぶん長く待って今月読みましたが、内容としては前作を要約しながら、より掘り下げてアドラーの考え方や現実世界でどう実践していくかということが書かれています。

アドラーは本書でもフロイト、ユングに次ぐ心理学者の一人と書かれていますが、その評価は(日本だけなのかもしれませんが)よくわかりません。そもそも研究対象としているものがかなり違う感じがします。アドラーはむしろ社会心理学のような人と社会のつながりにフォーカスを当てているようで、哲学的な趣があります。

さておき、本書はアドラーをほとんど知らない私にとってとても面白いものでした。備忘的に書くと、アドラーは行動面の目標として、①自立すること、②社会と調和して暮らせることを掲げ、そのための心理面の目標として、①わたしには能力がある、という意識、②人々は私の仲間である、という意識を掲げているそうです。どれもごくまっとうです。また、他者に対しては尊敬を持つこと、すなわち「人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと」(エーリッヒ・フロム)が肝心であり、更に条件付けを伴う「信用」と無条件の「信頼」は大きく異なるものであり、後者は結局自分への信頼がないとできないことなどが説明されます。ほかにも人生の主語として「私」を超越していくことの重要性や承認欲求の奴隷にならないこと。過去は実際は存在しないに近く、都合よく引っ張り出すことで、今、これからなにかをしないことの言い訳にしない、など色々と耳の痛い言葉が並びます。なお、教師や親は生徒や子供を褒めない、叱らないというのもユニークで面白いと思います。結局これらの行為は依存を深め、結局人は自分でしか変わらないということを喝破します。それよりは尊敬し、寄り添うのだ、ということを説きます。ここは人間関係の問題は「課題の分離」、すなわち誰の問題か、ということで処理できるというアドラーの考え方にも通じています。

少し理想主義にすぎるきらいはありますが、とてもシンプルで正論ですが深い内容だと思います。1作目は読んでいませんが、多くの人の心をつかんだ理由が分かります。ぜひおすすめの一冊です。

2015年9月21日月曜日

第124回:「人生を変える「習慣」の力」齋藤 孝

レーティング:★★★★☆☆☆

夏に「七つの習慣」を読んで以来、習慣というものに関心を持つようになりました。たしかに日々の様に無意識に実践するからこそ、その積み重ねは人生に大きな影響を与えるのは確実であり、ちょっと気を付けたいと考えています。

最近気を付けたいと思っているのは、摂取カロリーと運動です。20代は好きなものをどれだけ食べても太らず、ライス大盛りとか飲み会の後にラーメンなど普通にやっていたのですが、30代を過ぎると徐々に食べたものが2週間~1カ月後に如実に体脂肪率と体重に跳ね返ってくるようになったことを発見しました。毎週一度はジムで体組成計に乗っているのですが、本当にストレートに日々の生活が反映されます。仕事や会食などで帰りは概して遅く、また出張で思うように休日も時間が取れないので、まとまって運動するのは週1のジムが限界とすれば、なんとか口から入れるものを制限するしかありませんが・・。

さて、本書は齋藤先生が体験的に獲得したいくつかの優れた習慣について紹介しているものです。どれも分かりやすく、また先生が認めているように他の先生の本でもっと詳細に紹介されたりもしているものが大半ですが、幾つか真似してみようかと思うものもあります。備忘も兼ねて、一部だけ列挙します。

1.手帳を一日10回見る
2.疲れたら3秒吸って、2秒止めて、15秒吐く
3.自分のストレス許容量を把握する(何人会うか、何時間働くかを決める)

意外と少ないですが、他にも沢山の習慣が紹介されています。どれも面白いヒントに満ちているので、人によってこれはよいなと思うのは異なると思いますが、それぞれに読み甲斐があると思います。仕事をするときにストップウォッチで測る、というのもよさそうですが、あまり自分にプレッシャーをかけないためにもこれはやめておこうかと思いました。なにより職場でひかれそうですし。

2015年7月25日土曜日

第120回:「完約7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー

レーティング:★★★★★★★

もう初版が日本で出てから10年以上が経ちます。当時は大ヒットした一冊ですし、その後も現在もまで類書やシリーズが出続けているので相当な人気なのでしょう。私も書店などで繰り返し目にしていましたが、特に手に取ることもなく、なぜかあまり関心もありませんでした。しかしながら今さらなぜ図書館で借りてこようかと考えたかというと、先日ある海外の空港に居たところ、空港の小さな本コーナーでかなりプッシュされていて、日本に戻ったらちょっと読んでみようかという気になったのでした。

さて、内容はサブタイトルの「人格主義の回復」といういかめしいものほどは難しくないですが、よく生きる、ということはどういうことか、またそこに働く原則や有益な習慣とはなにか、ということについて書かれています。通常、生き方や働き方について書いた本というのは、こうすると上手くいくよ、とか、こうすると仕事がどんどん出来るよ、といった行動や考え方を指南するものですが、本書はまず生き方と原則だろう、というところから始まり、ざっくり言えばそれが全てです。面白いのは行動や考え方をどうするかというよりは、普遍的な原則があって、それに照らしてどういう行動や考え方が望ましいか書いている点です。すなわち、自分の行動や考え方を変えれば全て上手くいく、という安直な指南とは一線を画しているのが売りです。さて、自分の備忘録として、下に書かれていた習慣を列挙しておきたいと思います。

<私的成功>
第1の習慣 主体的である(インサイド・アウト)
第2の習慣 終わりを思い描くことから始める
第3の習慣 最優先事項から優先する(第Ⅱ領域)
<公的成功>
第4の習慣 Win-Winを考える
第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣 シナジーを作り出す
第7の習慣 刃を研ぐ

とまあこんな感じでして、並べてみると「はーそんなもんか」と思われるかもしれませんが、読んでみるととても説得力があり、少なくとも私は殆どのことが実践できていません。すべてを真面目に実践しないとだめだというものではないですが、1、2、4、5、6あたりは殆どできてない感じがあります。ここらへんは個人的な実感でしかないのですが、自分を振り返るよい切っ掛けとなります。

この本の素晴らしいところは、無駄に社会的な成功ばかりにとらわれずに書かれているところです。そういう意味ではすごく地味で地に足がついた内容となっています。(だからこそ世界的にヒットしたのだと思いますが。)社会人になったばかりのころに、カーネギーの「人を動かす」を尊敬する先輩に勧められて読んで、とても感動した覚えがありますが、こちらの一冊はかなり体系だって理論的になっています。カーネギーの一冊ほどエモーショナルではありませんが、読みやすく、十分な事例を踏まえた高い説得力があります。

こちらは文庫もでているので購入したいと思います。久々に手元に置いておきたい一冊を読めました。

2015年6月13日土曜日

第118回:「もう、怒らない」小池 龍之介

レーティング:★★★★☆☆☆

最近お坊さんの本がちらほら書店に並びます。昔からそういう本は書店に並んでいたのですが、どちらかというと仏教関連の解説などが中心でしたが、この10年くらいでしょうか、瀬戸内寂聴さんの影響か、どちらかというと生き方に関する本が増えてきた気がします。平凡に言えば、1995年以降の日本社会の変容やグローバル化に伴い、人々の不安が増してきているということがあるかと思いますが、それに留まらず仏教を始めとした大昔からの「智慧」というものに再び脚光があたっている気がします。

さて、この著者はかなり有名になった同年代のお坊さんなのですが、今回初めて著作を読みました。結論から言って平易に仏教の考え方を紹介しながら、分かりやすくどうやって怒りというものが生じるかについて説明がなされます。月並みではありますが、不安や恐れ、無力感、妬みや嫉みなどがそのもとであり、また怒りというものが衝動的な強い情念であり、それ自体に中毒的な作用があることが紹介されます。

さらっと読める一冊ですので、日ごろ怒りを感じることの多い方はお勧めです(かなりいると思いますが)。そして、面白かったのは、目を閉じて自分の体の位置や姿を感じる、更に自分の感覚器が感じていることを認識する、そして自分の気持ちの動きについて感じる、という一連のステップです。これは昨今はやりのマインドフルネスにも通じる感覚かとおもいます。

2015年3月3日火曜日

第113回:「花のように、生きる。」平井 正修

レーティング:★★★☆☆☆☆

第111回にレビューした全生庵住職の平井和尚の一冊です。前回レビューしたものと同じ幻冬舎から出た一冊で、文字通り前作がかなりヒットしたので出された一冊であることが伺えます。内容は、禅の考え方、とりわけ囚われない、捨てる、拘らない、流す、忘れる、そういったコンセプトを禅語といっしょに照会していくもので、優しい人生訓のような形式を取っています。

面白かったのは禅宗では桜より梅を高く評価しているというところ。なんでも梅は寒さの中で咲き、ほのかな香りを付け、そして確かな実を結ぶからだそうです。なんとも禅宗らしい感じ方だと思います。怒りや妬みといった日常的な感情について、禅的な考え方からある種の考え方を解説しており、そちらも含蓄があってとても面白いです。

一つだけ残念なのは、とても滋養に富んだ一冊だと思うのですが、細切れで短く、少し物足りない感じがするところです。幻冬舎は面白い本を次々と世に送り出す凄味があるのですが、他方、売れることもかなり重視していて、この一冊は企画先行になってしまった感が否めません。まあもちろん売れなくてよいと思って本を出す人はいないのだと思いますが。

残る平井氏の作品も読み進めてみたいと思います。

2015年2月18日水曜日

第111回:「坐禅のすすめ」平井 正修

レーティング:★★★★★☆☆

前回に続いて仏教関係の一冊です。他に1冊併読しているのですが、経済関係の上下巻なので結構時間がかかります。

さて、本書は臨済宗全生庵の住職が書かれた優しい坐禅の入門、といった本です。前回レビューしたものは禅というものはなにか、初心とはなにか、ということでしたので、それを読んでからのこの一冊はとても理解しやすいものでした。活字が大きく、一つのチャプターが3~4ページととても読みやすいのですらすら読める半面、がっつりと禅というものを理解するには向いている本ではありません。

禅や坐禅で面白いと思える考えは、「余計なものを捨てる」、「開き直る」、「強さよりしなやかさ」といった点を強調し、さらに頭でっかちな理解ではなく、ひたすらに実践を求め、耳学問となることを厳に戒めているところです。どちらかというとまず理性的になにかを理解したい、と感じてしまう性質なので、アプローチが新鮮です。ぜひ、禅の入門書と合わせて読まれることをお勧めします。全生庵、一度行ってみたいものです。

2015年1月26日月曜日

第110回:「禅マインド ビギナーズ・マインド」鈴木 俊隆

レーティング:★★★★★★☆

本ブログでは何度か取り上げている仏教関連の書籍ですが、今回は仏教の中でも禅に関する一冊です。禅は世界的に何度目かのブームとなっているようですが、面白いことに鈴木氏が住み、禅を実践した米国西海岸が現在のブームの根源ということだそうです。なお、本書はスティーブ・ジョブスも傾倒したというようなやや短絡的な帯に書かれた売り込みがありますが、内容の真摯さを考えればやや残念です。

さて、禅や座禅とはなんの関連もない生き方をしているのですが、座禅で思い出すのは小さなころ、多分小学1・2年の頃だったでしょうか。どういうきっかけか父親と座禅の話になり、やり方を教えてもらったことを記憶しています。私の知る限り一度も父親が座禅をした、もしくは話題にしたときは、この時を除いてないので不思議です。しかし、結構詳細に覚えており、脚の組み方、手の組み方、目を閉じるかどうか、呼吸をどうするか、浮かんでは消える雑念をどう考えるか、などなどを教えられ、それらを30年近くたった今も残っています。父親がどこで習ったのかはいまだ謎です。

そんなことで関心はありつつも、やや面倒な感じがして、更に取っ付きづらい感じもして敬遠していたのですが、近くの本屋で新書として出ていたので買ったのがこの一冊です。前置きが長くなりましたが、頭を殴られるような感じがする新鮮な一冊です。分割することで論理を組み立て、効率を上げることで高みを目指す近代的価値観とはいわゆる「ねじれの位置」に存在する考え方です。私は欧州留学などを通じてどっぷりと知らず知らずに近代的価値観に偏向していると自己認識しているのですが、その偏向ぶりがもつ息苦しさや、限界についても考えさせられる一冊です。とても不思議な本で、頭で上手く理解しようとしても理解できないことが沢山書かれています。

もう少し歳をとって、更に3回くらい読まないとしっくりこないかもしれません。しかし、手元に置いておいて、折に触れて読み返してみたいと思います。禅の対極ではなく「ねじれの位置」にあると感じる近代的価値観の真っただ中にある米国西海岸で大きな反響を読んだことがなんだか少しわかる気がします。ちなみに欧州にいたときも「マインドフルネス」(これもブームですね)実現の一環として瞑想を勧められたことが何度かあることを思い出しました。興味ある人もない人も、本当にお勧めの一冊です。平易で優しい語り口の一冊です(内容は平易ではありませんが)。

2014年9月22日月曜日

第100回:「そうか、君は課長になったのか。」佐々木 常夫

レーティング:★★★★★★☆

継続は力なり、とはよく言ったもので2011年1月に立ちあげたこのブログも今回で100ポスト目です。仕事や子育て、趣味などでなかなか30代リーマンに自由になる時間は少ないのを実感しますが、電車や飛行機の中、寝る前、たまには喫茶店などでぼちぼち読んで来たものが3年8か月で100冊に到達しました。ほぼ1年25ポスト前後で安定しており、この中には上下や4冊で一つとしてカウントしているものもあるので、年間大体30~40冊程度を読んでいることとなります。もう少し読みたいなぁ、と感じることしきりですが、焦らず、途切れずに続けていきたいと思います。

さて記念すべき100冊目となる一冊です。タイトルは「課長になった」ですが、別に課長になったわけではありません。ただ、少し最近働き方が変わったこともあり、あれこれと立場の違う人、特に仕事場では立場的に下になる人とどう接していくか試行錯誤が続いており手に取りました。佐々木さんの説明は前回のレビューである第59回などでも少し行っていますが、難病と障害を抱えたご家族が居ながら、東レで企画中心に大きな仕事をされた方です。人間的に温かく、しかし本書を見ればわかる通り仕事に関しては非常に厳しい方です。

前回レビューしたものと同様に著者からのお手紙形式になっており、1つの区切りは数ページと極めて読みやすいものです。今回は、昔の部下が課長になった(ばかり)という想定で、課長としての心得を順々に説明していきます。内容は平易ですが、結構はっとさせられるものも多いものです。以下、自分の備忘まで興味を持ったところを。

1-3:高い「志」が人を動かす
1-5:プレーイング・マネージャーにはなるな
2-6:「在任中に何をなすか」を決める
2-10:細かいことは部下に教われ
2-12:部下の仕事に手を突っ込む
3-15:はっきりと言葉にする
3-18:褒めるが8割、叱るが2割
3-20:部下の仕事を認めてあげなさい
5-33:会社の常識に染まらない

この一冊は買ったので、なんどか読み直すこととなりそうです。なお、本書でかなり押されている「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」、「驕れる白人と闘うための日本近代史」、「プロフェッショナルマネジャー」は近々読んでみたいと思います。

2014年5月11日日曜日

第94回:「外資系金融のExcel作成術」慎 秦俊

レーティング:★★★★★☆☆

日経新聞で何度も広告が打たれており、実際、書店でもかなりの売り上げになっているようなので、なんとなくタイトルを目にされた方も多いかもしれません。タイトルはやや釣りが入っていますが、要は外資系金融機関でフィナンシャル・モデル(FM)をどう作っているか、というノウハウを記載したものです。著者はモルスタに勤務後、プライベート・エクイティのユニゾン・キャピタルに勤務したそうです。ジュニアポジションだったので、相当FMを作り、回しという作業を積み重ねたであろうことが想像できます。

私も仕事がらFMを受け取って、簡単なシュミレーションをしたり、また自分の仕事のため、簡単なコーポレートのFMなどを作って走らせるということはしていたのですが、高度なモデルを組めない、そもそも組み方を体系的に学んだことがない、簡単なモデルを組んでもやたら見づらい、などの悩みがありました。このため本書には刊行後からかなり関心があったのですが、丁度、後輩が貸してくれるということでありがたく読みました。結論からいって金融関係の方、特にジュニアの方にはよい一冊だと思います。私もそんなに若くはないのですが、目からうろこが沢山あり、一部の内容は日々実践することで身につきつつあります。ちなみに、本書は実際に手を動かしてExcelを開いてカチャカチャしながら読むのが一番だと思います。

さて、本書の良いなと思う点はかなりあるのですが、まずは徹底して無駄が省かれ、大事な内容に絞って書いてあることです。ノウハウとしてはたくさん詰まっていますが、覚えきれないほどの分量ではありません。良くあるExcel使えるようになる!みたいな本は、やたらめったらどうでもいいショートカットなども記載しているのですが、FMを綺麗に、正しく作るというその目的に必要かつ良く使うものに絞り込んでいるので、とても読みやすいものになっています。次には、「いかに見せるか」という見た目の話をきっちりと書いているところです。綺麗に頭に入ってくる数字、見やすくて、その意味を読み取ろうという気になる数字というのがあります。見やすい、見やすくないの分かれ目は、多くの場合見せ方の問題で、特に投資銀行的なノウハウが特に役立つところなのでしょう。簡単なルールだけ記載していますが、ちゃんと、綺麗に見せる、というのは社内でも社外でも非常に大事だと思います。読む気が失せるような数字の羅列はわりとどこの業界でもあるのではないでしょうか。見せ方だけにこだわれば軽薄に聞こえますが、しっかりとした理由と技術が詰め込まれており説得的です。最後に、今までない領域に挑戦した点です。英語では1冊FMだけについて記載している本を知っていますが、日本語でFMについて正面から書いているものはなかったはずです。そういうところに若い著者が果敢に挑んだところは大変勇気がいることですし、意味も大きかったような気がします。

他方、少しだけ改善すれば・・と思う点ですが、Amazonの書評でも指摘されています(その他にも数字でも数点あります)が、誤植や数字が手順どおりにやっても合致しないところがある点です。これはおそらく重版で修正されるものと思いますが、少し残念でした(他の部分がプロフェッショナルなだけに)。あと一つは印刷の色が薄い点です。Excelで見やすいように淡色を使っている影響があるかと思いますが、印刷の色もかなり薄いので少し見にくいのが気になります。少し色覚が良くない方などは殆ど色が分からなくなるのではないでしょうか。

色々書きましたが良著です。金融関係者、各種財務諸表を扱う方などはぜひ手にとって見られると面白い一冊だと思います。著者は意欲的な方のようなので、お忙しそうですがこれに限らずいつか2冊目を出されることを期待しています。

2014年1月19日日曜日

第84回:「35歳からのリアル」人生戦略会議

レーティング:★★★★☆☆☆

ハウツーものともちょっと違いますが、2000年代に入ってから書店で良く見るようになった類の一冊です。類書は28歳やら40代やら色々とありますが、一番年齢に近いものを図書館から借りてきました。以前は、こういう本って世代を十把一絡げにして語り、凄い恥ずかしいよな、意味ないよなと思っていたのですが(今も少し思っています)、読まず嫌いも良くないだろうということと、同世代は典型的にどういうイシューを抱えているのかを知るのは迷いの少なくない年代としてよいかなと思って借りた次第です。

前置きが長くなりましたが、本書は「仕事」「家庭」「お金」「活力」「選択」というカテゴリーにそって豊富な客観データを用いて説明を行っていきます。ちなみに読者を男性と明確に規定した内容ですので、男目線、夫目線が露骨に前面にでており、間違って女性が読むとかなり不快かもしれません。こういう本は全体を通して評価する作品ではないので、自分として気になった点、備忘のため記録しておきたい点に絞って書いてみたいと思います。

まず「仕事」です。全産業的にですが、1997~2007年にかけて30~34歳男性の所得は100~300万円減少している(恐るべき数字です)。1997年に最も多いレンジは500~699万円だったのが、2007年には300~399万円に落ちています。雇用体系ごとの分布のシフトがもっとも効いていると思いますが、そういう厳しい時代に生きているということは認識しとかないといけなさそうです。また、35~49歳は週60時間以上働く割合が最も大きい年代だそうです。60時間というのはやってみると割と普通ですが、まあ長いことは確かです。その上で、選択しとして大きく4つのモデルが提示されます、すなわち①専門職として自分の仕事を追究する、②ゼネラリストとしてマネジメントの道を進む、③出世しなくてよいので定年まで勤め上げる、④転職を考える/独立開業を考える。いずれの選択を行う上でも、1.自分は何が得意か、2.自分が本当にやりたいことはなんなのか、3.何をすることに意味や価値を感じるのか、を良く考えるべきということで、新卒当時とは全く違ったリアルな検討ができるようになっているはずだ、とのことです。

「家庭」では主に結婚と子供/子育てについて、「生活」では家、食事、健康をどうするかについて詳細に記載があります。既に幾つかのライフイベントを経験しているので、それほど驚きのある内容はありませんが、子育てにかんする費用については具体的な数字が多くてよかったです。あくまでモデルケースですが、22歳までの養育費は1640万円、私立中学3年間で380万円(公立141万円)、私立高校313万円(公立156万円)。あと日米の幸福度を比べると、アメリカでは年と取るほどに幸福度があがるのに対して、日本では逆に下がり続けています(平成20年度)。比較的福祉が充実している、かつ勝ち逃げ世代が多いと思われる今のシニアにそういう傾向があるのはなんとも不思議です。アメリカは良く分かりませんが、なぜこうも逆の挙動になるのでしょうか。

最後の「活力」「選択」では、もう35だと思うか、それとも今の知識・経験や人脈などを生かして10年後、20年後を(苦しくとも)見据えるかで大きな差が出ること、保守的でありつつも今やりたいことや今しかできないことをしっかり追求することの意味について書かれます。それを実現するために、楽観的であること、体を鍛えること、まずやってみること、「弱い紐帯」を活用すること、などが書かれます。読む前の先入観とは裏腹に、どれもそうだよなあということが多く、言い訳できない世代に差し掛かっていることを痛感しました。10年、20年の計を考えてみたいと思います。

2013年6月16日日曜日

第69回:「採用基準」伊賀 泰代

レーティング:★★★★★☆☆

2012年に随分売れた一冊です。著名なコンサルティング・ファームで採用を担当していた方、ということで随分話題性があり、またタイトルも就職活動を控えた大学生などは手に取らざるを得ないようなものになっています。ちなみにタイトルは著者も書いているとおり、本の中身のごく一部でしかありませんが、この程度であればアイキャッチのために許される範囲かなと思います。

では、この本の中身はなんなのかということですが、マッキンゼーにおける採用活動の視点を紹介しながら、本論である(主にキャリア上の)リーダーシップの重要性について説く、というものです。リーダーシップは教育可能であり、今の日本社会に強く求められているのに、重要性の認識が決定的に欠如しており、系統的な教育もされていない、というのが著者の主張です。私は、海外に居た時にリーダーシップというものに非常に重きを置くところにいて、耳タコ状態でこの言葉を聞いていたので、強い関心をもって読み進めることができました。著者の主張には共感するところもそうでないところもありますが、面白い一冊だと思います。なかなかリーダーシップについて正面から論じているビジネス?書は少ないと思います。

共感するところは日本ではリーダーシップというものが良く理解されておらず、その重要性も共有されていないということ。私も勉強に行く際に、リーダーシップ教育に力を入れている学校なんです、と周囲に説明しましたが、当然ながら周囲は「うーん何やんの」ということでしたが、正直言って行く前の私も「なんか良く分からないけど、行って見ればわかるか」という程度にしかイメージがありませんでした。本書でもうまく定義されていませんが、リーダシップというものが果たしてなんなのか、仕事におけるそれとはなんなのかについての共通理解がなく、他の言葉や概念で部分部分が表現されていることが多々あると思うので、まったく日本で理解されていないというわけではなく、元来輸入概念なのでそのものの理解は乏しいということでしょうか。

そしてリーダーシップの重要性というか、人生における大切さというのは個人的に海外での経験を経て実感するに至ったのですが(実践できているのかは人が決めることだと思いますのでなんとも言えません…)、他方、著者の言うようにリーダーシップを持つ人材が日本に少ないとか、日本の問題の多くがリーダーシップの欠如によるもの、という考え方はやや疑問です。リーダーシップを持つ人材は、少なくとも私が接してきたビジネスパーソンには沢山いました。また、あまりリーダーシップを持つ人が見られない業界/組織も見受けられますが、それは個々人の問題というよりはそもそもリーダーシップを必要としていないか、排除しようとしている業界/組織なのではないでしょうか。また、後者のリーダーシップの欠如が日本の多くの問題につながっているという指摘も、正直言って組織は人々のリーダーシップだけで解決できるような容易な問題ばかりではなく、リーダーシップ教育がなされている欧米を見ても問題山積であることを考えれば、同意しがたいものがあります。政治経済やミクロ経済主体としての企業の問題は、リーダーシップの欠如もあるのだと思いますが、むしろ構造的なものだと思います。

上に書いたとおり異論もありますが、本書はそれでも良い本だと思いますし、特に高校、大学生や28歳くらいまでのビジネスパーソンにお勧めできると思います。志高く生きたいという人には大いに鼓舞する内容ですし、リーダーシップ云々はさておいても、結局なにが仕事を動かしていくのかということが書いてあります。また、管理職はリーダーと同義ではなく、日本企業に求められているのはリーダーではなく管理者という点もかなり正しいと思います(それはそれで理由があるわけで悪いわけではないのですが)。

備忘まで面白いと思った部分をメモしておきます。まず、リーダーがなすべき4つのタスク:目標を掲げる、先頭を走る、決める、伝える。マッキンゼー流リーダーシップの学び方:バリューを出す、ポジションをとる、自分の仕事のリーダーは自分、ホワイトボードの前に立つ。また、最終章の「リーダーシップで人生のコントロールを握る」も面白いです。リーダーシップを過大評価する必要はありませんが、(繰り返しですが)それが教育可能(trainable)であること、自分の頭で考えることを可能にし、仕事やプライベートの生き方に大きな影響を与えること、などを正面から説いています。なお、あとがきで紹介されている、著者が運営しているMY CHOICEというサイトは、コンテンツが面白いのですが、やや更新頻度が低く改善を期待したいところです。