レーティング:★★★★☆☆☆
お陰様で第40回目となりました。さて、この本はサイバーエージェント創業者かつ社長である藤田氏の創業記録といったところです。生い立ち、学生時代、ベンチャーとの出会い、起業、上場そして結婚といったエピソードが包み隠さず語られており、ビジネスに関わるものとしてのみならず、一個人としても興味深い内容になっています。
この本を読んで思い出した一冊があります。同じく若くして経営者となったタリーズコーヒージャパンの松田康太氏の「すべては一杯のコーヒーから」で、こちらは2008年ころ読んで強烈な印象を受けました。丁度、普通の高校生が同年代の学生が出ている甲子園の試合を見てショックを受ける、そんな感じです。松田氏の本はタリーズのコーヒーを飲むというユーザーとしての経験があるので、親近感が湧いたのですが、実は藤田氏の本にも、というか藤田氏自身について個人的に親近感をもって読み進めました。
実はもう10年も以上前に一度だけ藤田氏の講演を聞いたことがあります。正確にはサイバーエージェントの採用説明会に出席、私は結構前の方の席に座っていて間近で藤田氏が語り始め、なぜインターネットか、なぜベンチャーかということを熱く語られたというものです。わりと狭い一室に椅子が並べられ、わけもわからず座っている学生たちの前で、相当忙しかったのでしょう、遅刻してきた藤田社長はこころなしかかなりやつれていて、白っぽい顔をしていた記憶がありますが、喋りは大変に流暢でメモなども一切見ずに熱弁をふるいました。今となってはその時の話の中身はあまり覚えていませんが、とにかく社長が若かったこと、そして採用説明会にも関わらず社長自らが熱弁を振るったことが印象に残っており、自身の就職活動を通じてかなり記憶に残った会社でした。
サイバーエージェントは今アメーバピグなどのサービスで人気を博しているよう(私は一度もやったことがありません)ですが、私が就職活動をしていた頃も出始めとはいえ、丁度ネットバブル華やかな頃だったので、日経新聞にも登場していました。その後、本書によればネットバブル崩壊などで会社売却を真剣に模索するなど、かなり厳しい状況に追い込まれたことがあるようですが、現在までこれだけの知名度と業績を残しているのは素直に称賛されていいものかと思います。
インターネット関係の会社でありながら、コアの技術というものがなく始めた割には、社長やその周りの構想力や事業化力、高いセールス能力などに支えられ、独自のポジションを獲得していった裏側には、苦悩と猛烈な努力があったというのはこの本から初めて知ることであり、藤田さんすごいなぁという感を新たにしました。最後に話を伺って10年以上経っていますが、まだまだ進化しているようです。応援したいと思います。
このBlogの目的は、シンプルです。ただ、私が読んだ本を評していくこと、それだけです。ちなみにジャンルの限定はなく、ただ一つのルールは、私が最初から最後までリアルタイムに読んだ本、それを書評することだけです(従って、昔読んだ本や全て読まなかったものは対象外)。
2012年4月22日日曜日
2012年3月20日火曜日
第39回:「苦役列車」西村 賢太
レーティング:★★★★★★☆
第144回芥川賞受賞作です。作家をひそかに志す日雇労働者が主人公となっていますが、私小説的な要素が多分にあり、多くの部分が実体験に基づいているということです。なかなか読んだことのない、重苦しいようなあっけらかんとした、不幸だけど希望があるような不思議な小説です。そして昨今はあまりお目にかかれない濃密な主人公の吐露が続き、時折息苦しさを覚えます。
暗いばかりの小説ではなく、主人公が大正期などの文学を実は読み漁っていて、随分と私小説に情熱を燃やしており、それが現実の世界で生きることの大きな支えになっているという熱く、前向きな部分も感じられます。また文体も秀逸で、どこでこんなのを覚えたのかという難解な漢字が良く出てきて、文末が意識的に「る」と「た」で揃えられ、リズムを生み出すように続いていきます。
さらけだすことについてこれだけ意欲を持った作家は昨今いなかったように思え、高い評価にしました。ちなみに表題作の最後の1パラは文字通り痺れます。また単行本に同時に収められている『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』も良い味出してますので、ぜひご一読ください。
第144回芥川賞受賞作です。作家をひそかに志す日雇労働者が主人公となっていますが、私小説的な要素が多分にあり、多くの部分が実体験に基づいているということです。なかなか読んだことのない、重苦しいようなあっけらかんとした、不幸だけど希望があるような不思議な小説です。そして昨今はあまりお目にかかれない濃密な主人公の吐露が続き、時折息苦しさを覚えます。
暗いばかりの小説ではなく、主人公が大正期などの文学を実は読み漁っていて、随分と私小説に情熱を燃やしており、それが現実の世界で生きることの大きな支えになっているという熱く、前向きな部分も感じられます。また文体も秀逸で、どこでこんなのを覚えたのかという難解な漢字が良く出てきて、文末が意識的に「る」と「た」で揃えられ、リズムを生み出すように続いていきます。
さらけだすことについてこれだけ意欲を持った作家は昨今いなかったように思え、高い評価にしました。ちなみに表題作の最後の1パラは文字通り痺れます。また単行本に同時に収められている『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』も良い味出してますので、ぜひご一読ください。
2012年3月18日日曜日
第38回:「私的整理の実務」高木 新二郎・中村 清
レーティング:★★★★☆☆☆
世の中では多くの会社が生まれ、倒産(、そしてその一部は再生)しているわけですが、その倒産プロセスは大きく二つに分けられます。一つは法的倒産処理手続きであり、もう一つは私的倒産処理手続きとなりますが、前者は破産、会社更生、民事再生といったものであり、ニュースでもある程度聞くカテゴリかと思います。後者については、その名のとおり債務者と債権者が私的なプロセス(法廷等が関与しない)で債権債務関係を再編するものであり、それが故に事例が公に公表されることが少なく、世の目に触れることも少なくなります(通常、私的整理と呼ばれます)。
本書はその私的整理について法的な位置付け、考え方、判例を紹介しながら、実務の流れについて詳細を記したものです。私的整理は外部機関の関与がないため、公平性の担保や詐害行為の防止が難しいことが特徴ですが(他方、迅速な処理が可能)、どの程度までが裁判所によって認められ、否認されるかについて判例をベースに解説されています。世に法的倒産処理に関する本は多いですが、私的整理に関する(特に実務面の)本は非常に少なく、その意味で貴重な情報源として使えます。ちなみに著者の一人の高木氏は、弁護士(元裁判官)で倒産・事業再生の大家であり、この本を書いた後になりますが産業再生機構の産業再生委員長も務められました。
このように優れた一冊なのですが、本書は平成10年(1998年)に書かれており、その後、倒産法制が大幅に改正されているため、幾つか今はピンとこない記述がある点は要注意です。ぜひ、アップデート版が刊行されることを望みます。
世の中では多くの会社が生まれ、倒産(、そしてその一部は再生)しているわけですが、その倒産プロセスは大きく二つに分けられます。一つは法的倒産処理手続きであり、もう一つは私的倒産処理手続きとなりますが、前者は破産、会社更生、民事再生といったものであり、ニュースでもある程度聞くカテゴリかと思います。後者については、その名のとおり債務者と債権者が私的なプロセス(法廷等が関与しない)で債権債務関係を再編するものであり、それが故に事例が公に公表されることが少なく、世の目に触れることも少なくなります(通常、私的整理と呼ばれます)。
本書はその私的整理について法的な位置付け、考え方、判例を紹介しながら、実務の流れについて詳細を記したものです。私的整理は外部機関の関与がないため、公平性の担保や詐害行為の防止が難しいことが特徴ですが(他方、迅速な処理が可能)、どの程度までが裁判所によって認められ、否認されるかについて判例をベースに解説されています。世に法的倒産処理に関する本は多いですが、私的整理に関する(特に実務面の)本は非常に少なく、その意味で貴重な情報源として使えます。ちなみに著者の一人の高木氏は、弁護士(元裁判官)で倒産・事業再生の大家であり、この本を書いた後になりますが産業再生機構の産業再生委員長も務められました。
このように優れた一冊なのですが、本書は平成10年(1998年)に書かれており、その後、倒産法制が大幅に改正されているため、幾つか今はピンとこない記述がある点は要注意です。ぜひ、アップデート版が刊行されることを望みます。
2012年3月4日日曜日
第37回:「半島を出よ(上)(下)」村上 龍
レーティング:★★★★★★☆
ここ半年ほど本を読める時間が減っているのですが、他方、数少ない読んだ本に当たりが多くて嬉しいこのごろです。この本は非常に面白かったですし、なによりプロの作家の想像力、構想力や筆力をまざまざと見せつけられました。
村上龍氏は、私のささやかな読書史には重要な位置を占める作家で、高校1~2年目のころには随分とはまり、前期の(エッセーを含む)殆どの作品を読みました。特に「限りなく透明に近いブルー」、「コインロッカーベイビーズ」、「愛と幻想のファシズム」や「五分後の世界」は自堕落な世界観と緊張感のある描写に随分とやられました。しかしながら、その後の「KYOKO」あたりから、なんだか自分の求めていたものと路線が異なるような気がして、しかも随分と文章の密度が低下した気がして、「インザミソスープ」でなにが面白いのか全然わからなくなってしまい、それ以降、少なくとも氏の小説は一切読まなくなってしまっていました。ただし、経済関係での露出、特に「カンブリア宮殿」なんかは面白いので、今でも良く見ています。
ほぼ、読まなくなってから干支が一回りした最近、成田から長い時間フライトに乗る機会があり、この本を手にしました。とりあえず分厚いので上巻だけ買って飛行機に乗り込みました。上巻は単行本で430ページもあるので、これは帰国するまで読み終わらないだろうと思っていたのですが、北朝鮮の反乱軍が九州に上陸するというかなり変わった設定と、膨大な資料と取材に裏打ちされたリアルな描写にぐんぐんと読み進めました。結局、買った翌日には上巻を読了してしまい、下巻を買ってこなかったことを深く後悔しながら帰国しました。
この小説の面白いところは、荒唐無稽というか突飛な設定にも関わらず、緻密な日本や北朝鮮双方の取材によって高いリアリティを獲得しているところです。そこに加えて、北朝鮮兵士の視点から日本を描写し、また彼らの祖国が描写されていることです。それがどれほど正確なものかは分かりかねますが、何人もの脱北者にインタビューを重ねているため、たぶんそういう感じなんだろうなと思えるところが随所に出てきます。
また、この反乱軍に唯一立ち向かっていく集団があるのですが、これも現在の日本への強烈なアンチテーゼとなっています。この集団はほぼリアリティはないのですが、個性的で読ませます。こういう社会から疎外された人々を描くのは、デビューのころから一貫して著者の得意分野です。
構想の大きさ、北朝鮮兵士の側から語ること(そしてその難しさ)、圧倒的な取材を通じたリアリティ、長いのにほとんどだれないストーリー展開などどれをとっても一級品の小説だと思います。レーティングは満点にすべきか悩みましたが歴史の風雪を乗り越えきったわけではないので、少し控えめに6としました。
ここ半年ほど本を読める時間が減っているのですが、他方、数少ない読んだ本に当たりが多くて嬉しいこのごろです。この本は非常に面白かったですし、なによりプロの作家の想像力、構想力や筆力をまざまざと見せつけられました。
村上龍氏は、私のささやかな読書史には重要な位置を占める作家で、高校1~2年目のころには随分とはまり、前期の(エッセーを含む)殆どの作品を読みました。特に「限りなく透明に近いブルー」、「コインロッカーベイビーズ」、「愛と幻想のファシズム」や「五分後の世界」は自堕落な世界観と緊張感のある描写に随分とやられました。しかしながら、その後の「KYOKO」あたりから、なんだか自分の求めていたものと路線が異なるような気がして、しかも随分と文章の密度が低下した気がして、「インザミソスープ」でなにが面白いのか全然わからなくなってしまい、それ以降、少なくとも氏の小説は一切読まなくなってしまっていました。ただし、経済関係での露出、特に「カンブリア宮殿」なんかは面白いので、今でも良く見ています。
ほぼ、読まなくなってから干支が一回りした最近、成田から長い時間フライトに乗る機会があり、この本を手にしました。とりあえず分厚いので上巻だけ買って飛行機に乗り込みました。上巻は単行本で430ページもあるので、これは帰国するまで読み終わらないだろうと思っていたのですが、北朝鮮の反乱軍が九州に上陸するというかなり変わった設定と、膨大な資料と取材に裏打ちされたリアルな描写にぐんぐんと読み進めました。結局、買った翌日には上巻を読了してしまい、下巻を買ってこなかったことを深く後悔しながら帰国しました。
この小説の面白いところは、荒唐無稽というか突飛な設定にも関わらず、緻密な日本や北朝鮮双方の取材によって高いリアリティを獲得しているところです。そこに加えて、北朝鮮兵士の視点から日本を描写し、また彼らの祖国が描写されていることです。それがどれほど正確なものかは分かりかねますが、何人もの脱北者にインタビューを重ねているため、たぶんそういう感じなんだろうなと思えるところが随所に出てきます。
また、この反乱軍に唯一立ち向かっていく集団があるのですが、これも現在の日本への強烈なアンチテーゼとなっています。この集団はほぼリアリティはないのですが、個性的で読ませます。こういう社会から疎外された人々を描くのは、デビューのころから一貫して著者の得意分野です。
構想の大きさ、北朝鮮兵士の側から語ること(そしてその難しさ)、圧倒的な取材を通じたリアリティ、長いのにほとんどだれないストーリー展開などどれをとっても一級品の小説だと思います。レーティングは満点にすべきか悩みましたが歴史の風雪を乗り越えきったわけではないので、少し控えめに6としました。
第36回:「経営分析のリアル・ノウハウ」冨山 和彦・経営共創基盤
レーティング:★★★★★☆☆
久々に新刊(2月17日発売)を購入しました。冨山氏は第5回、第6回でもレビューしているので、ご興味のある方はそちらも参照いただきたいのですが、産業再生機構で辣腕を振るった企業再生家であり、現在は著者に名を連ねている経営共創基盤のCEOを務めています。
本書は一通りの財務分析や経営分析をした経験のある人がぶつかるであろう問題意識に応える内容となっており、新書ながら非常に密度の濃いものとなっています。私もとりあえず一通り読みましたが、ゆっくり咀嚼しながらもう一度近々読んでみようと思っています。さらりと書いていることが、かなり大事であったりして、マーカーをとりあえず手元に準備するつもりです。
財務分析や経営分析をする時に、迷ってしまうところやすっきりしないところは色々ありますが、一つは踏まえるべき業界や会社の文脈に照らしてどう財務分析の数値を判断するかということがあります。また、財務分析はできたんだけど、なんで高い利益率を誇っているのかいまいち判然としない場合もあります(利益率が低かったり、マイナスなのは比較的読み取りやすいのですが)。たぶん、その会社の商売の仕組みが見えていないことに起因するものだと思います。特にこの後者の部分、会社が行っている日々の業務が明確に描けないと見た目はもっともらしくても、随分苦しい分析になりがちな気が実体験からしています。
以下の項目は、特に面白いものでした。
「リアル経営分析はテーラーメイド」
「その数字から企業小説を書けるのか」
「規模が効く業種と効かない業種」
「業界構図の変化の陰には、必ず経済構造の変化がある」
「規模、範囲、そして「密着」の経済性」
「そもそも勝ちパターンがつくりにくいビジネスもある」
「分けるはわかる、管理会計の重要性」
やはり実務家の本は、教科書的な通り一遍の解説を超えて、豊富な実例を踏まえた含蓄があります。もっと詳細なものを読んでみたい気はしますが、エッセンスをぎりぎりまで詰め込んだ新書とという感じで、非常に読み応えがありました。お勧めです。
久々に新刊(2月17日発売)を購入しました。冨山氏は第5回、第6回でもレビューしているので、ご興味のある方はそちらも参照いただきたいのですが、産業再生機構で辣腕を振るった企業再生家であり、現在は著者に名を連ねている経営共創基盤のCEOを務めています。
本書は一通りの財務分析や経営分析をした経験のある人がぶつかるであろう問題意識に応える内容となっており、新書ながら非常に密度の濃いものとなっています。私もとりあえず一通り読みましたが、ゆっくり咀嚼しながらもう一度近々読んでみようと思っています。さらりと書いていることが、かなり大事であったりして、マーカーをとりあえず手元に準備するつもりです。
財務分析や経営分析をする時に、迷ってしまうところやすっきりしないところは色々ありますが、一つは踏まえるべき業界や会社の文脈に照らしてどう財務分析の数値を判断するかということがあります。また、財務分析はできたんだけど、なんで高い利益率を誇っているのかいまいち判然としない場合もあります(利益率が低かったり、マイナスなのは比較的読み取りやすいのですが)。たぶん、その会社の商売の仕組みが見えていないことに起因するものだと思います。特にこの後者の部分、会社が行っている日々の業務が明確に描けないと見た目はもっともらしくても、随分苦しい分析になりがちな気が実体験からしています。
以下の項目は、特に面白いものでした。
「リアル経営分析はテーラーメイド」
「その数字から企業小説を書けるのか」
「規模が効く業種と効かない業種」
「業界構図の変化の陰には、必ず経済構造の変化がある」
「規模、範囲、そして「密着」の経済性」
「そもそも勝ちパターンがつくりにくいビジネスもある」
「分けるはわかる、管理会計の重要性」
やはり実務家の本は、教科書的な通り一遍の解説を超えて、豊富な実例を踏まえた含蓄があります。もっと詳細なものを読んでみたい気はしますが、エッセンスをぎりぎりまで詰め込んだ新書とという感じで、非常に読み応えがありました。お勧めです。
2012年2月5日日曜日
第35回:「ハーバードの人生を変える授業」タル・ベン・シャハー
レーティング:★★★★★☆☆
先日、いつも借りている地元の図書館からメールが来ました。予約された本が届きました・・・最近めっきり予約をしていなかったので、はてなにを予約したんだろうかと。確かに人気のある新刊にはすぐに予約が殺到するので、予約後1年以上まっている本もあります。そういう中の一冊かと思って受け取りにいったところ、タイトルの本でした。奥付を見ると、2011年5月に増刷したことが記載されているのでその後にどうやら予約したようです。
前置きが長くなりましたが、本の内容は、ハーバードの学部生向けに以前あった(今は著者がイスラエルに戻っている)講座のエッセンスを纏めたものです。要は自己啓発的というかワークライフバランス的な内容で、どう自分の好きなものを見つけるかとか、自分の気持ちと向き合うかみたいなことが書いてあるのですが、ただの読みものというよりは、ワークブックとして構成されているのが特徴です。ThinkとActionという2項目が各セクションについており、実践することを強く推奨した内容となっています(おそらくそうしないとほぼ意味がない)。
内容自体は、日本ではお目にかかれない!といったものでもなく、さすがハーバード!という内容でもありませんが、極めて分かりやすいこと、内容が至極常識的であることから信頼が持てます。なお、原題は"Even Happier"という抑制されたものであるのに対して、邦題は読者を馬鹿にしたようなものに変えられているのがやや残念ですが、出版不況のご時世ではこのくらいのタイトルを付けないと社内で了解がえられないのかもしれません。
就活中の学生さんから社会人の方までくらいには面白い本だと思います。全部は無理そうですが、一部やってみようかと思わせるものがありました。
先日、いつも借りている地元の図書館からメールが来ました。予約された本が届きました・・・最近めっきり予約をしていなかったので、はてなにを予約したんだろうかと。確かに人気のある新刊にはすぐに予約が殺到するので、予約後1年以上まっている本もあります。そういう中の一冊かと思って受け取りにいったところ、タイトルの本でした。奥付を見ると、2011年5月に増刷したことが記載されているのでその後にどうやら予約したようです。
前置きが長くなりましたが、本の内容は、ハーバードの学部生向けに以前あった(今は著者がイスラエルに戻っている)講座のエッセンスを纏めたものです。要は自己啓発的というかワークライフバランス的な内容で、どう自分の好きなものを見つけるかとか、自分の気持ちと向き合うかみたいなことが書いてあるのですが、ただの読みものというよりは、ワークブックとして構成されているのが特徴です。ThinkとActionという2項目が各セクションについており、実践することを強く推奨した内容となっています(おそらくそうしないとほぼ意味がない)。
内容自体は、日本ではお目にかかれない!といったものでもなく、さすがハーバード!という内容でもありませんが、極めて分かりやすいこと、内容が至極常識的であることから信頼が持てます。なお、原題は"Even Happier"という抑制されたものであるのに対して、邦題は読者を馬鹿にしたようなものに変えられているのがやや残念ですが、出版不況のご時世ではこのくらいのタイトルを付けないと社内で了解がえられないのかもしれません。
就活中の学生さんから社会人の方までくらいには面白い本だと思います。全部は無理そうですが、一部やってみようかと思わせるものがありました。
2012年1月29日日曜日
第34回:「ノモンハンの夏」半藤 一利
レーティング:★★★★★★☆
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。昨秋より読書に充てられる時間がかなり減少中ですが、読めないなりにちょっとずつ頑張ってレビューしていこうと思います。
今年最初の1冊は、近所の本屋で購入したものです。山本七平賞も取っており、著者の代表作のひとつなのでご存知の方も多いかもしれません。私は、ずっと昔に村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を読んだ時にこのノモンハン事件を知り、その後も村上氏がエッセーや対談だったかで2回ほどノモンハンでの不思議な体験について言及するにつれ、いつかノモンハンについてちゃんと読んでみたいと思っていました。
本書は、時系列にノモンハン事件発生前のころから始まります。1939年の参謀本部のメンバーについて触れ、その後、大陸の関東軍に話が移っていきます。ノモンハン事件そのものを掘り下げて書くというよりは、ドイツ、イタリア、ロシア、イギリス、フランス、日本の当時の外交関係にこの事件が与えた影響や、参謀本部と関東軍が如何に互いに統制を失い、特に関東軍が如何に意図的に統帥権を干犯し、戦線拡大に突き進んだかが詳細に描写されていきます。どれも(陸軍、参謀本部、関東軍には容赦なく批判的ですが)守られるべきバランスが保たれた描写や評価であり、また、徒に細部に拘らず大局的な視点を持っている良著だと思います。
色々な読みが可能かと思いますが、ガバナンスの困難さ、中央と出先の意思疎通の欠如、加速する方向性の違い、など現代にも(軍隊でないにせよ)通じるトピックスが数多く出てきます。その意味では、日本政府であり、日本(陸)軍の犯した失敗は、単に戦争に留まらない立派な教訓を数多く引き出すことが可能であり、だからこそ類書が絶えることなく書かれているのかもしれません。また、本書は基本的にノモンハン事件のフォーカスしていますが、ご興味がある方は「失敗の本質」もお勧めです。なお、同書がまず取り上げている失敗は「ノモンハン事件」です。
組織でも個人でも失敗のメカニズムを学んだところで、それを血肉化して再発を必ず防げるものではないのが難しいところですが・・・。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。昨秋より読書に充てられる時間がかなり減少中ですが、読めないなりにちょっとずつ頑張ってレビューしていこうと思います。
今年最初の1冊は、近所の本屋で購入したものです。山本七平賞も取っており、著者の代表作のひとつなのでご存知の方も多いかもしれません。私は、ずっと昔に村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を読んだ時にこのノモンハン事件を知り、その後も村上氏がエッセーや対談だったかで2回ほどノモンハンでの不思議な体験について言及するにつれ、いつかノモンハンについてちゃんと読んでみたいと思っていました。
本書は、時系列にノモンハン事件発生前のころから始まります。1939年の参謀本部のメンバーについて触れ、その後、大陸の関東軍に話が移っていきます。ノモンハン事件そのものを掘り下げて書くというよりは、ドイツ、イタリア、ロシア、イギリス、フランス、日本の当時の外交関係にこの事件が与えた影響や、参謀本部と関東軍が如何に互いに統制を失い、特に関東軍が如何に意図的に統帥権を干犯し、戦線拡大に突き進んだかが詳細に描写されていきます。どれも(陸軍、参謀本部、関東軍には容赦なく批判的ですが)守られるべきバランスが保たれた描写や評価であり、また、徒に細部に拘らず大局的な視点を持っている良著だと思います。
色々な読みが可能かと思いますが、ガバナンスの困難さ、中央と出先の意思疎通の欠如、加速する方向性の違い、など現代にも(軍隊でないにせよ)通じるトピックスが数多く出てきます。その意味では、日本政府であり、日本(陸)軍の犯した失敗は、単に戦争に留まらない立派な教訓を数多く引き出すことが可能であり、だからこそ類書が絶えることなく書かれているのかもしれません。また、本書は基本的にノモンハン事件のフォーカスしていますが、ご興味がある方は「失敗の本質」もお勧めです。なお、同書がまず取り上げている失敗は「ノモンハン事件」です。
組織でも個人でも失敗のメカニズムを学んだところで、それを血肉化して再発を必ず防げるものではないのが難しいところですが・・・。
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